A型急性肝炎ってどんな病気? 簡単な概要

A型急性肝炎はA型肝炎ウィルス(HAV)によって引き起こされる病気で多くは一過性の急性肝炎症状で終わります。約2〜8週間の潜伏期間を経て発症し、症状としては黄疸や発熱、下痢、吐き気や嘔吐、全身倦怠感などがあります。初期には風邪と似たような症状になるので間違えやすいです。

急性症状はおよそ4〜8週間で改善し慢性化することはありませんが、稀に劇症肝炎や腎不全になることもあり注意が必要です。主な感染経路は経口感染で、ウィルスが付着した糞便に汚染された器具や手指などから感染します。

また、ウィルスに汚染された水や野菜、魚などを摂取することによっても感染します。糞便が原因なので上下水道が整備されている先進国ではA型肝炎の発生は少なくなっていますが、衛生状態が良くない地域では蔓延かすることがあります。治癒後には免疫を獲得します。

A型急性肝炎って主にどんな人が病気になるの?原因は

・上下水道設備が整っていない地域に行く上下水道が整っていない発展途上国などの地域に行くと罹患することがあります。

A型急性肝炎は糞便を介して感染するため、排泄物の処理が適切に行われていない地域に行くとウィルスが蔓延していることがあり罹患しやすくなります。中長期間そのような地域を訪れる場合には何らかの対策を講じる必要があります。

食べ物だけでなく水も汚染されている可能性があるので、生野菜を水で洗ったりして汚染されることもあるので注意してください。

・60歳以下の人日本では戦後生まれの60歳以下のかたはA型肝炎に対する抗体(HA抗体)を持っていません。ですからウィルスに晒されると罹患する恐れがあります。一度発症したかたは抗体が作られるので、再び罹患することはありません。しかし最近日本では乳幼児や学童の感染はほとんど見られず、高齢者が発症する場合が多くなっています。高齢者が発症した場合重症化して劇症肝炎になり、最悪の場合死に至ることもあるので注意が必要です。

・輸入食料品を食べる発展途上国からの輸入食料品を摂取することにより発症することがあります。近年の発展途上国からの輸入食料品の増加に伴いHAVウィルスに汚染された食料品が私たちの手元に届く可能性が高まっています。万一ウィルスに汚染された食料品を摂食してしまうと抗体を持っていないかたは発症する可能性があります。心配なかたはよく産地を確認して購入したほうが良いかもしれません。

A型急性肝炎の改善方法

現在特効薬がないため安静とし、血液検査などで症状を観察しながらそれに対応する形で治療を進めて行くことになります。

黄疸があれば臥床安静として肝臓への血流を確保しながら回復を待ち、下痢や嘔吐があれば点滴などで脱水を防ぎます。

発熱があれば解熱剤で対応します。発症する前の予防が必要で、ウィルスに汚染された可能性がある場合は石鹸と流水による手洗いなどが効果的です。糞便を介して感染するのでトイレに行った後や食料の前には必ず手洗いをし、手指衛生の管理を徹底しましょう。

衛生状態の悪い地域では食べ物がウィルスに汚染している可能性があるため、生野菜やカットフルーツ、生水などを摂取しないようにしましょう。流水で洗っても水自体がウィルスに汚染していることもあります。

またワクチンの予防接種が効果的なので、A型肝炎ウィルスが蔓延している可能性がある衛生状態が悪い地域に中長期間滞在する場合にはあらかじめ予防接種を受けてから訪れるようにしましょう。