大腸がん・直腸がんってどんな病気? 簡単な概要

大腸の粘膜から生じる悪性の腫瘍のことを「大腸がん」といいます。「直腸がん」は大腸がんの中でも特に直腸(肛門から入ってすぐのところ)にできるがんのことを言い、大腸がんの一種です。

大腸がんは特に直腸やS状結腸(直腸の上につながっている部分)にできやすいと言われています。

日本人の悪性腫瘍による死亡数のうち、大腸がんの占める割合は増加しており、2015年の人口動態統計によると男性で3位、女性で1位となっています。

では、大腸がんや直腸がんになるとどのような症状が現れるのでしょうか?残念ながら早期の大腸・直腸がんは症状に乏しいことが多いです。

ですので、早期発見には病院での検査が有用です。がんが進行するに従い、便秘や下痢、血の混じったうんちが出る、うんちがほそくなる、お腹の痛み、お腹が張ったような感じが自覚症状として出る場合があります。このような症状に気づいた場合はすぐに病院で検査を受けましょう。

厚生労働省 人口動態調査

大腸がん・直腸がんって主にどんな人が病気になるの?原因は

大腸がんになりやすいのは50〜70歳代男性

大腸がんの発生は50〜70歳代に多く、60歳代にピークがあります。大腸がんになる人は男性が多く、男性は女性の1.8倍なりやすいといわれています。

大腸がんの危険因子は食生活の欧米化

赤肉、加工肉のような脂肪とタンパク質がたっぷり含まれているような食事をとることは大腸がんの危険因子だと言われています。また、食物繊維が少ない食事でも大腸がんにかかるリスクが上昇すると言われています。ついつい油っぽい食事になっていませんか?食物繊維はごぼう、人参などの野菜、キノコや豆、芋などに多く含まれていますよ。意識してとってみましょう。

肥満の人は大腸がんになりやすい

肥満の人は大腸がんになりやすいと言われています。ちなみに肥満とはBMI(Body mass index)が25以上の人のことを言います。体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で計算できますので気になる人は試してみてくださいね。

肥満の人はもちろん、今肥満でない人も、脂の多い食事を減らし、食物繊維をたっぷりとることでダイエットに努めましょう。

遺伝的要因や腸の病気が関係あることも

血の繋がった家族で大腸がんになった人はいませんか?大腸がんになりやすい体質は遺伝すると言われています。

また、まれではありますが、家族性腺腫性ポリポーシス、リンチ症候群といった遺伝的な病気によって大腸がんになりやすい人もいます。このような疾患を持つ人は若い頃に大腸がんになることが多いです。

腸に長期間炎症が起こっている人にも大腸がんが発生しやすいと言われています。具体的には安倍総理も抱えていると言われる潰瘍性大腸炎がひとつに挙げられます。

大腸がん・直腸がんの改善方法

内視鏡を使った治療でがんをとる

大腸がんが早期に見つかれば、内視鏡治療の適応になります。

内視鏡治療はお腹を切る手術に比べて、小さな傷で手術を行うため身体への負担が少なく、術後の痛みが軽いです。また、美容面でも傷が目立ちにくいと言えます。

基本的には早期に発見された大腸がん、すなわちリンパ節転移の可能性がほとんどなく、がんが一度に取りきれる大きさと部位にあるがんに内視鏡治療を行うことが多いです。

外科的治療でがんをとる

内視鏡治療の適応でなく、がんを切除することが可能な場合、外科的治療を行います。

この治療では大腸がんを含む腸の一部とその近くの血管とリンパ節を切除します。近年は腹腔鏡を使った治療が選択されることもあります。目に見えないがんが大きくなってくることを防ぐために、術後に化学療法が行われることもあります。

大腸がんの切除ができない場合

がんの進行度合いや全身状態によっては手術でがんを根治することができないことがあります。その場合は化学療法を行う場合があります。緩和医療として人工肛門を作ったりすることもあります。

厳密な治療方針の決定には、専門機関での検査が必要です。かかりつけのお医者さんにご相談ください。