雀のさえずりから目覚めた日

ある日、朝起きるとお腹がすごく張っていました。
その前の晩に食べた賞味期限切れの菓子パンの影響かな、と思いました。
ただ、トイレに行ったら普通の便が出たんです。

「ガスが溜まっていただけなんだな」と思っていたのですが、ある時間が過ぎるとまたお腹に張りを感じます。
その都度、ガスを出してお腹の張りは抑えられるのですが、またガスが溜まってきます。
いつもはトイレに行ってガス抜きをしますが、その時、まだ妻は寝ていたのでトイレに行くのが面倒になり、おならが溜まるたび、リビングルームで「プー」とガスを抜いていました(ただ妻がちゃんと寝ているかどうかは確認をその都度していました)。

夫婦なんだからわざわざトイレまで行かなくても、と思う方もいるとは思いますが、我が家では妻の前でガスを出すと烈火のごとく怒られます。
ブスガス爆発とはこのことです。
いや、妻は愛しています。というか、傍目から見ても美人でしょう。
私が思うに、女性が美しくあり続けるのは笑顔がポイントだと思います。

そもそもこのようなトイレルールは結婚する前、同棲をしていた時からありました。

日々の当たり前から思い出す過去の日々

群馬から大学卒業後、就職と同時に東京へ来た僕は、都会の喧騒にもまれていました。そんな毎日に嫌気がさしていたときに、出会ったのが妻です。

取引先へ伺った際に、彼女の姿を見たさにもはや仕事そっちのけで会いに行きました。妻の笑顔に心を奪われてしまったがために。あくる日もあくる日も私は会いに行きました。そんな私に根負けしたと後日おっしゃっていましたが妻をデートに誘うことができました。私にとってそれはもう夢のような出来事です。

当日はありきたりに映画を観に行きました。そしてお決まりのように、喫茶店でお茶をし、感想をお互いに述べていました。ただ、そこではありきたりでもなく、当たり前でもなかったのがあります。
妻の笑顔です。妻の笑顔が今日だけは、100%私にだけ向けられている、その現実がたまらなくうれしかったのです。その日から私は妻と結婚したい、一緒にいたいと思い、アプローチをしお付き合いに至ったのです。

しかし、年月が経ち、同棲を始めたころ、妻の笑顔が減りました。大好きな笑顔がみれない、私自身も心配で身が引きさけるような思いで、とても心苦しかったです。同時に怒りもこみ上げてきました。一体妻から笑顔を奪ったのは誰だ。
私だ。
心配して直接聞いてみると同棲してから、わたしが目の前でおならをしたのが原因だったらしいんです。あんなに嫌がっていたのについ私は調子にのって。。。
その時の妻の怒りようは火の如く燃えさかり、私はとんでもないことをしてしまったのだと実感しました。

しかし、この出来事をきっかけに私はちゃんと相手のいうことは真摯に受け止めるように心がけ、以降は大きなケンカもなく、おかげで結婚までできたといっても過言ではないでしょう。

朝にもどり、現実を振り返る

話がそれました。
妻が寝ているのをいいことに、めんどくさがってリビングでおならをしていた時です。
四度目か五度目か、数えていないからわからないのですが、またおならが溜まったので出したところ、今までと明らかに違う衝撃が肛門に感じられました。青いイナズマといいいますか。
青いイナズマで思ったのですが、音楽のタイトルこそ、才能のかたまりだと私は感じます。
そのタイトルから曲のイメージというか、感覚が呼び起こされるというか、一言にすべてを詰め込む、その才能に私は嫉妬をしてしまいます。

また、脱線をしてしまいました。
イナズマが走ったあとハッとしてパンツを見ると下痢になっていました。
ヤバい、と思い焦ったのがいけません。
急に立ち上がった時椅子が倒れ、妻が「どうしたの?」と起きてしまったのです。
また怒られる!そう思い、「なんでもないよ」と言って大慌てで替えのパンツを取り、ササッと洗面所で汚物を洗い、洗濯機に入れました。
ただその後、妻から「なんかすごく臭い」と言われ、言い訳をせずに素直に白状し、謝罪をしました。もちろん烈火のの如く怒られましたが、「あんた会社の時間でしょ」と言いながら私が漏らしてしまった下着を洗濯している姿をみて、妻の変わらぬ愛情を感じました。

かかあ天下と空っ風、亭主関白には程遠い、私のトリセツ、覚えているのはあなただけ。

朝の陽気が妙に心地よく、週末にまた映画を観に行きたいな、そう思った出来事でした。